禁煙と転職とモテたい願望

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【仮面ライダーアギト】サブライダーから見る仮面ライダーアギト。三人のライダーの明確な差別化とその結果。

サブライダーってイイですよね。

 

主人公じゃない故の自由さというか、要所を決める最大瞬間風速というか。ある意味で、物語ってのはサブライダーが魅力的じゃないと難しいところがあるんだと思います。

 

そんな所謂2号ライダー、3号ライダーと呼ばれるサブライダーが本格的に登場したのが平成2作目の「仮面ライダーアギト」です。クウガも面白いけどアギトも抜群に面白いです。

 

キャラクターの造形や敵など前作のクウガと共通点も多い本作ですが、一番の違いは2人のサブライダーがいる事でしょう。

 

まずは警視庁が所持するパワードスーツ「G3」の装着員でもあり、自身も同組織に籍を置く氷川誠。

 

そしてもう一人が、過去のバイク事故を引き金に「ギルス」への変身能力に覚醒した葦原涼です。

 

それぞれのキャッチは仮面ライダーになろうとする男仮面ライダーになってしまった男

 

ともに「なる」という動詞が使用されていますが、前者では未来への願望を。後者では過去の後悔が文章から読み取ることができます。

 

また、後者からは仮面ライダーであることの肯定/否定も見られます。

 

つまりは「仮面ライダーになってしまった男」葦原涼は、仮面ライダーではあるものの、その実、仮面ライダーであることを否定しているのです(※「なった」ではなく、「なってしまった」というネガティブな表現が用いられていることから推測)。これだけでも氷川と葦原が対象的な存在と分かっていただけると思います。

 

そもそもアギトという作品自体が主人公を含めたライダーの立ち位置が徹底的に差別化が図られているように思います。

 

「既に仮面ライダーである男」とは主人公である津上翔一のキャッチです。先の二人と比べると肯定も否定もなく、ただアギトへと成れることだけが説明されています。

 

ここで、いつものごとく話を脱線すると、僕はこの「すでに仮面ライダーである男」という言葉が考えれば考えるほどに秀逸なキャッチに思えるのです。

 

というのも、他のキャッチからは言葉の端からキャラクター像がなんとなく見えますが、主人公だけまるでキャラクター像が見えません。「すでに~である」という第三者の断定を用いるために、本人の意思が一切感じさせないのです。作中で語られた謎の戦士という説明をグンと引き立たせます。

 

この文面が面白いと思うのは、第一に分かりやすさです。

 

「すでにライダーである男」「なろうとする男」「なってしまった男」

 

一目見るだけで3人がそれぞれ別の立ち位置にいることがわかります。

 

次に、本当なら一番色を付けたいはずの主人公が最も色がついていないこと。クウガの五代雄介であれば「2000の技を持つ男」など、その人物を象徴する言葉を付与したほうが、視聴者としても切っ買うする側としても一つの指標となりやすいものです。けれどそんな中、「すでに仮面ライダーであること」その一点以外は情報を与えない強気の文章に心惹かれます。

 

さらに番組冒頭で説明されますが翔一が記憶喪失であることが分かると、途端にそれは無色から透明という色となるのです。文字通り津上翔一という人物は「『既に仮面ライダーである』こと以外は本当に何も分からない人物」だったのです。まさしく、津上翔一をいう人物を紹介する上で芯を捉えた言葉だったのです。

 

話を戻しますが、その差別化ですが、例えばそれぞれが所属するものからも見えます。

 

津上は集団の最小の単位である家族、氷川は警察という組織、そして葦原は個人で基本的物語は進みます。

 

本来なら決して交わることすらなかった、言わばX軸のクウガとY軸のG3、そしてZ軸のギルス。この背景も成り立ちも生き方すらも違う男たちが、入り乱れることで劇的な面白さを得られたのだと思います。

 

思うに、アギトという作品がこれほどに徹底した差別化を図ったのは、クウガとの関係もあるでしょうが、三人の生きざま(特性)を集めることで、一つの仮面ライダーの完成形を描きたかったのではないでしょうか。

 

あたかも幼虫が蛹となり羽化をして成虫へと変貌するように、3つの視点を用い、それぞれの役割を与えることで一人の仮面ライダーの人生を表したのです。

 

そして結びつくはずのないそれらの楔となったのが、メインキャッチコピーでもある「目覚めろ、その魂」です。「目覚め」とはさまざまな意味合いがあります。目が覚めること・自覚すること・立ち返ること。それぞれのキャラが各々の魂を震わせるほど目覚めを体験することで、自信の弱さに目を向けて次のステージへと進んでいくことになります。どんな生き方をしていても行き着くのは自分の弱さを見つめること。そんな人の根元にある人間臭さがアギトという作品の世界観を一気に広げるのです。

 

そう考えると、もう一人のライダーである木野薫(アナザーアギト)は、ライダーとしての明確の死という最後のピースを埋めてくれる存在だったのではないでしょうか。