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樋口有介「木野塚探偵事務所だ」感想

樋口有介「木野塚探偵事務所だ」感想

  

久々に家にある本を整理していると樋口有介先生の「木野塚探偵事務所だ」を見つけたので思い出しながらレビュー。

 

物語は 

警視庁経理課を勤め上げた定年警察官・木野塚佐平が、新宿五丁目の栄光ビル四階に事務所を開設した。目指すはフィリップ・マーロウ*1か、はたまたリュウ・アーチャー*2か⁉スーパー・エキセントリック・ハードボイルド探偵が、コケティッシュな秘書・梅谷桃世と挑む難事件の数々。超正統派「探偵物語」の傑作。

 ※表紙裏より抜粋

 

と煽りに煽っているが、実際のところ

経理課一筋35年の定年警察官・佐野佐平には夢があった。それはハードボイルド探偵になること。運よく転がしていた土地とアパートで老後の心配はなし。冒険心のなかった人生に第二の花を咲かそうと男六十路が奮闘するものの、入ってくる依頼も雇った秘書もなんだか当初の予定とだいぶ違うようで・・・。

といったストーリー。

  

まあ早い話がハードボイルド探偵のパロディ風に仕立て上げられた作品で、残忍な事件や社会の裏に潜む巨悪にメスを入れたりといった話でなく、普通の推理小説じゃお目にかかれないちょっと変わった依頼が舞い込んでくる。

  

この作品のキーパーソンはなんといっても主人公の木野塚佐平。

 

 言ってしまえば、彼は警察官という仕事には就いていたものの経理畑で定年まで過ごし、一度も現場に出たことのない知識だけは少し知っている素人で、警察出身という誇りと、唯一の趣味であるハードボイルド小説の主人公への憧れだけで、探偵事務所開設した遅れてやってきた厨2病患者といったところか。

 

へっぽこでどこか憎めない主人公を愛せるか否か。そして、ハードボイルド小説を読んだことがあるか無いか。極論でいえば、それで大きく評価の分かれる作品だといえるだろう。

  

というのも、作者である樋口有介先生の代表作「柚木草平シリーズ」が、まぎれもなくハードボイルドの私立探偵という作品であり、そんなハードボイルド小説の作者が書くパロディ小説だから面白いという、ある意味でメタ的な面白さが強い作品だと思う。

  

個人的には好きな作者なので、同作者の作品もしくは、ハードボイルド小説を読んでいる人には是非ともお薦めしたい。

  

というか樋口有介先生の作品はおすすめ。ハードボイルド作品だけでなく青春小説としても最高!

 

*1:アメリカではホームズに匹敵するほどに人気のあるレイモンド・チャンドラーが生み出したハードボイルド小説の探偵。『大いなる眠り』の「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」。『プレイバック』の「タフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」はあまりにも有名。

*2:ロス・マクドナルが生み出した私立探偵。「動く標的」や「さむけ」など数多くの作品で活躍した。